修繕内容や修繕時期が把握できたら、それを基に収支計画を作成します。各修繕項目において、数量や単価から工事費用を算出。長期修繕計画の設定期間における修繕費総額や、各年度別の修繕費用が明確になるとともに、修繕積立金を算出する根拠にもなります。国交省のホームページで公開されている「長期修繕計画標準様式」には、収支計画に関する部分もありますので、参考にするとよいでしょう。
修繕積立金の積み立て方式は3種類あります。収支計画の収入部分となりますので、管理組合で話し合い、自分たちに適した方式を採用しましょう。
長期修繕計画に基づいて算出した修繕費総額を、設定期間の月数で割り、その金額を、修繕積立金の月額にする方式。計画期間中に積立金額の変動がないため、安定感があり、「長期修繕計画標準様式」では、この方式を採用しています。
例:長期修繕計画の設定期間30年(360カ月)、
修繕費総額360,000,000円の場合の月額修繕積立金
360,000,000(円)÷360(設定期間月数)=1,000,000(円)
この場合、1,000,000(円)÷マンション世帯数の金額が、1世帯あたりに課される月額修繕積立金になります。
長期修繕計画に基づいて修繕費総額を算出した上で、当初は月額修繕積立金を低く設定。一定期間(5年程度)ごとに段階的な増額を行い、最終的に設定期間の修繕費総額と一致させる方式です。一定期間ごとに徴収額を見直すため、初期に設定した修繕費総額に狂いが出た場合でも、対応しやすいといったメリットがあります。
修繕工事実施時に不足金を一時金として徴収する方式です。一時金の徴収を念頭に置いているため、修繕積立金の月額を低く設定できますが、積立金が少ないと、修繕時に一時金の徴収額が多くなるといった、不安定なところもあります。
各修繕項目の修繕費用と修繕費総額を算出し、積み立て方式が決まったら収支計画表として表にまとめます。より分かりやすくするために、収支計画をグラフ化するのもよいでしょう。その際、国交省のホームページにある「長期修繕計画標準様式」と「長期修繕計画標準様式(記載例)」が参考になります。また、段階増額方式を採用する場合は、増額する時期や金額について収支計画表に明記し、マンション住民に積立金増額があることを周知させておきましょう。
作成した収支計画表は紛失することのないように、長期修繕計画表と一緒に保管しておくことが大切です。