匠リニューアル技術支援協会に寄せられた管理組合からの声

管理組合からの声

管理組合からの声

埼玉県S市 P管理組合

修繕委員会が発足して1年。修繕委員会では設計事務所などにパートナーとしての協力をお願いした設計管理方式による大規模修繕工事を考えました。ところが、よい設計コンサルタントを選定するには何をしたら良いのだろうという問題に突き当たりました。そんな時に出張相談会を行っていただいた埼玉県マンション管理士会から「NPO匠リニューアル技術支援協会」を紹介してもらったのです。

委員会に来訪いただき、質問、相談を繰り返すうちに、その回答内容に納得する部分が多く、ここに設計コンサルタント選定業務を依頼したいと思うようになったのです。その後、理事会に提案、承認を経て正式に委託をお願いしました。

設計コンサルタント選定に先立ち、組合員向けの修繕セミナーを3回開催していただきました。具体的には1回目は建物関連(屋上防水、外壁、廊下・階段等)の失敗事例から住民監視体制の充実の必要性を学び、2回目は設備(給排水、電気、通信、消防等)関連の知識を得、3回目は長期修繕への取組み(修繕計画、点検診断、居住者認識、理事会活動、長期修繕計画の目標、修繕工事の目標、積立金等の共通認識)について勉強しました。
こうした手厚いサポートも含めて、改めて委託してよかったと思っています。

東京都 A市 T管理組合

私がマンション管理組合理事に就任した年の状況は、建物が築17年で第2回大規模修繕の準備に取りかからなければならない時期でした。ところが修繕積立金残高は、第1回大規模修繕に要した額の1/3しかなかったのです。

このような危機を招いてしまった原因は、委託していた管理会社の無責任と私たち209戸組合員全員の怠慢にありました。8年前に管理会社から積立金徴収額を見直す必要があると指摘されながら、理事会はそれを放置、管理会社もそれ以降積立金値上げの提案はしてこなかったのです。

事態の深刻さに理事会メンバーは愕然としました。なんとか自分たちの財産は自分たちで守らなければと思っていたところ、たまたまマンション管理士なる存在を知り、様々なアドバイスを受けることとなったのです。そのアドバイスの一つとして、匠リニューアル技術支援協会からの支援をうけることも入っていました。

初めての面談で、私たちは多くの教示をいただきました。ひとつは「長期修繕計画は建物の耐用年数を見据えて立案しなければならないこと」ということです。2回目の大規模修繕をどう乗り切るかしか頭になかった私たちには目からウロコでした。もうひとつは「長期修繕計画立案には根拠が必要なこと」です。まず建物の現状を把握し、それに適した計画を立てることが大切なのです。「金がない」からスタートしなければ私たちだからこそ、トータルランニングコストを考えて、建物診断にもとづいて適切な修繕を行っていかなければならないことに気づいたのです。

特に感銘を受けたのは、何のための修繕なのかというテーマでした。建物の劣化を最小限に食い止める補修ではなく、子や孫の代まで快適に暮らせる住空間を創造するために修繕を行っていこうということにしました。

翌年6月の定期総会で、理事会は修繕委員会の設立、匠リニューアル技術支援協会との顧問契約、積立金を4500円から9000円に値上げすることを提案し承認されました。

こうして修繕委員会はスタートしました。まず、第1次建物診断と報告、修繕の基礎知識のレクチャーを匠リニューアル技術支援協会から受けました。講習会は9月~12月で1回あたり2~3時間を計5回も受けたのですが、この段階では本当の意味を理解してはいませんでした。

翌年1月にはコンサルタントの公募を開始しました。「過去の工事仕様書一式」「現地視察」等の条件をつけましたが、驚いたことに応募はたったの2社しかありませんでした。本来なら自分の実績を胸を張って見せられるはずなのにたった2社とは、建設業界の現状を垣間見た思いがしました。

選定にあたっては、膨大な資料を作成していただきました。その資料をもとに現地視察、ヒアリングを行ったのですが、そこでやっと私はレクチャーの意味を理解することができたのです。

なぜ4ヵ月もかけて基礎勉強から始めたのか。それは「自分たちに選定させる」ためだったのです。素人がたかが5回の講習で判断できるレベルに達するとは思っていませんが、仕様書で「2~4」と「3」の違いは理解できました。現地視察でどこを見れば施工業者のレベルを判断できるのかもわかりました。素人でも要所を押さえることができれば、主体的に選定できるということです。もちろんこれにはプロの支援は必須ですが・・・。

この段階になってはじめて匠リニューアル技術支援協会の第一義の目的が理解できた気がしました。こつこつと辛抱強くレクチャーをしてきたのは、私たちの自立こそが重要なポイントなのだと。

その後の修繕委員会では、「自分たちで成功事例を作ろう」が合言葉になっています。そういう意味では、少しずつ自立のステップを踏んでいるのではないかと思います。

この4年間で、私たちの意識は大きく変ったと思います。4年前の定期総会の出席者は209戸ある中で20人。委任状を躍起になって回収してやっと会が成立という情況でした。しかし、今年の定期総会では40名の出席がありました。倍になったからといっても全体の2割に過ぎない実績ですので、まだまだ先は長いと思っています。しかし、これを大きな第一歩として、これからも「自分たちの財産は自分たちで守る」取組みを継続していきたいと思っています。

埼玉県 W市 R管理組合

私が78戸の管理組合の理事になった年に以前からの問題が噴出しました。その問題とは、修繕費の滞納、修繕積立金の不足、当時の管理会社の無登録営業、屋上漏水、生活モラルの低下などです。こうした問題を抱えて、なにをどうしていいかさっぱりわからず、正直途方に暮れていました。

そんなとき、埼玉県マンション管理士会から、同じ市内のマンション管理士を紹介されました。この方から「自分たちのマンション(財産)は自分たちで守る」ということをわかりやすく説明していただきました。元はといえば、自分たちの無知、無関心から発生した問題です。そのことを素直に受け止めることができたおかげで、問題解決に向けて真剣に向き合うことができました。

管理組合としての取組みは、第一に修繕積立金の値上げと管理規約の一部改正(滞納対策マニュアルの作成と理事2年任期半数交代)を行い、滞納者とは理事が個別面談を行い滞納金支払い分割等の対応をしました。第二に管理会社を変更しました。その際、共通仕様書で競争入札をし適正価格で契約しました。その後管理規約は全面改正しました。

匠リニューアル技術支援協会は、以前に一度マンション管理士の方から紹介され大規模修繕工事の勉強会を行ったのですが、当時は修繕委員会が立ち上がったばかりで実感がなく、ゼネコンに責任施工で任せるところでした。

ところが、この業者が擁壁補強工事で施工ミスを犯したのです。ここに至って初めて勉強会での意味がわかったのです。随分高い授業料を払ったわけですが、自分たちが目指す失敗しない大規模修繕工事を行うため、匠リニューアル技術支援協会に依頼しようということになったのです。

3回の基礎知識の勉強会、公募による設計コンサルタント募集、現場見学会等を重ねるうちにイメージする仕上がり「品質管理」の重要性を理解できました。あとは時間をかけて検討し、手順を踏み、実行してきました。設計コンサルタントが決まり、管理組合の最重要課題は実調査に基づいた工事の必要性と具体的な内容の工事仕様、長期修繕計画による総予算から修繕積立金の値上げの合意形成でした。ここが一番苦労した点であり、大規模修繕工事成功のため管理組合の課題と覚悟ということです。

施工業者も公募で決まり、現地見学会では品質管理が実現可能なことと理解するには十分安心できるものでした。工事中も思いもよらない不具合があり予算を見直したり、仕様が現状に則して変更されたりと問題がありましたがその都度三者が検討し無事竣工しました。

私達の取り組みはここからまた新たに始まります。今回の修繕工事が適切だったとの判断は次回の修繕工事の診断結果によるのです。履歴や資料は確保しました。安心できるマンションを目指して今後とも皆様のアドバイスを受けながら継続していこうと思っています。ぜひ私達のマンションを見に来て下さい。

学校法人荒井学園 春岡幼稚園 園長

人間だって建物だって形あるものは全て時間と共にに古くなりやがては崩れ去るもの。そうはわかっていてもできるだけ最初の姿を保ちたい、一番輝いている時のままにしておきたい、いやそのとき以上に・・・と思うのが人の常。だから人は化粧をし、花は押し花にし、建物には修繕の手を加える。

私の幼稚園も築27年を迎え、見えているところも、見えないところも少々くたびれてきたようです。その間何もしなかったわけでなく園舎全塗装と園舎屋根防水工事を共に2回ほどやりました。その度に多額の修繕費がかかりましたから建物を維持管理していくとは大変なこととつくづく思いました。

幼稚園は多くの方が思っているほどお金はありません。本当です。幼稚園は収益事業ではありませんから、何かを販売して利益を確保したりはできません。収入は保育料のみですから、年度当初にはその年の全収入が計算できます。そして多くは人件費と教育経費に支出されますから、最終的に残るのは収入の数パーセントです。その数パーセントをコツコツ積み立て大きな修繕や時には園舎の全面改築や新築費用に当てます。

そんなわけですから、今回の園舎&遊具塗装・防水工事のお話をいただいたときには悩みましたが、2回目にお話を伺った最初の言葉が理解できた時に工事実行の決断をしました。その最初の言葉とは、「あと何年園舎を持たせるつもりですか」です。

こんな切り出し方をされたのは初めてでしたから返答に困りました。最初「何年持たせる」という意味がよく解らなかったのです。が、お話を伺ううちに防水や塗装は単に10年たったからその性能・能力に限界が来てダメになるわけでなく、適切な材料と専門的な知識と技術をもった人間(職人)、それに見合う適切な費用ををかけ施工すれば10年ちいわずそれ以上持たせることは(途中に最小限のメンテナンスは当然必要だが)充分可能であるということがお話をお聞きしてわかりました。今では、「補修にはお金がかかるけどやらなきゃ仕方がない」程度の考えでした。

確かに今回も、園の運営を考えると多額の費用がかかりましたが、最初のお話のとおり工事を請け負っていただいた各工程の職人さんの仕事に対する謙虚さと技術の確かさと施主を思う細やかな気遣いを合わせれば、決して高いものではなかったように思います。

また、今回の塗装工事には園舎壁面に大きな絵を入れるという大プロジェクトも同時に進行しましたが、「ものつくり大学・デザインアート部」の素晴らしい感性をもった若者たちにも夏休みを返上してペンキだらけになりながらお力をいただきとてもよいものが出来たと思っています。

暑かった今年の夏に多くの方との出会いがありました。それぞれに素晴らしい形ではないものをいただきました。地球に存在するものは時間がたてばやがて消えますが、夏の暑さと工事に携わっていただいた素晴らしき人との出会いだけは、色あせることなく心の中に残っていくものと思います。

東京都 K市 H管理組合

昨年、長期修繕計画の作成と修繕積立金の大幅な改定をしました。長期修繕計画(長計)は築60年後を視野に入れ、築30年時に交換が予想される雑配水管を共用部扱いとした点に特徴があります。その計画に基づいて必要な金額を算出した結果、修繕積立金一戸当たり平均17,000円の増額をしました。居住者の理解とコンサルタント会社の適切なアドバイスに支えられ、何とか総会で可決されました。

しかし、道は平坦ではありませんでした。

今回の改訂以前、最初に修繕積立金改定案が総会に提出されたのは第4期でした。ところが、この案は管理会社側からの一般的な内容の提案であって、当マンションには適合しない箇所がありました。また、この時期の総会は議決権数(4分の3)に達せず、決議自体が行えませんでした。私を含めて居住者の意識が低かったことにもよります。

そこで、第5期理事会では勉強会(修繕委員会の前身)を発足させ、居住者による具体的な長計作成を目指しました。

そえれにより解ったことは、以下の3点です。

(1)専門家による調査の必要性
(2)コンサルタントの必要性
(3)居住者の意識の向上

これを受け継いだ第6期理事会では、修繕委員会を中心に具体的な長計の作成に入りました。議論は白熱し、時には夜中まで続けられました。最初に改定額を見た時、皆、呆然・唖然・愕然の体。けれども住みよい環境wp維持することの大切さを考えた結果、築60年後を見据えよう、それに必要な金額を積み立てよう、との共通認識を持つに至ったのです。更に、匠リニューアル技術支援協会主催の勉強会に理事が参加し、他マンションの情報を収集しました。

1平方メートル200円以下では不足かつ不安、250円以上でやや安心。これが圧倒的な意見でした。早速、「組合速報」を各戸に配布し、居住者の理解を求めました。このような理事・委員の努力の甲斐もあり、臨時総会では、大方の賛同を得て可決。とはいうものの総会後、納得されない方からの投書があったのも事実ですが・・・。

総会決定を受けて、築6年の当マンションでは以下の工事を行いました。
(1)機械式駐車場を中心とした鉄部塗装
(2)駐車場舗装の打ち換え

見積りは3社から取りました。選定では、料金の高低ではなく、実績・技術、そして担当者人柄を重視しました。長計の精神を生かしたかったからです。

工事は未経験ということでトラブル続きでした。代用駐車場の手配、車の移動、未確認水道管の破損等々。ただそれと同時に多くの助力があったのも事実です。好意的な居住者、不測事態を迅速に処理する管理会社、丁寧で細かやかな仕事の職人さん、厳しいチェックのコンサルタント会社。おかげで無事終えることができました。

問題発生から常にサポートをしていただいた匠リニューアル技術支援協会にはこれからもいろいろ相談をさせていただきたいと思います。

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