建替え決議には共有者の意見を一致させておく

これで円滑!マンション建替えガイド

専有部分を数人で共有している場合

マンションの専有部分を数人が共同で所有している場合、共有者全員の意志を明確にしておく必要があります。
区分所有法の「議決権行使者の指定(区分所有法第40条)」では、専有部分が数人の共有に属する場合、その共有者全員を1人の区分所有者として扱うと定められています。

また、各共有者は議決権を持分に応じて行使することはできないため、建替え決議集会において議決権を行使する者をあらかじめ1名決めておかなくてはなりません。そのため、建替え決議に向けて共有者間で十分に話し合い、マンション建替えに賛成であれ反対であれ、意志を統一しておく必要があります。

共有者の意見が揃わない場合

マンションを建替えるということは、共有者全員の利害に強く関わります。民放251条「共有物の変更」により、「各共有者は、ほかの共有者の同意を得なければ、共有物に変更を加えることができない」と定められていますので、全員が「建替えを行いたい」という意志を示さなければ、建替え決議で賛成の意思表示をすることはできません。

共有者間で意見が揃わない場合、建替えを望む共有者が反対する共有者の持分を買い取り全員参加とするか、建替え非賛成者として建替組合より売渡請求を受け、代価を持分に応じて共有者間で分配して精算します。

遠隔地に共有者がいる場合、意思表示の到達時期に注意

遠隔地に共有者が住んでいる場合、意思表示の到達時期にずれが生じる可能性があります。具体的には、遠隔地から郵便を発送した時期と、郵便が到着して内容を了解した時期のずれです。後からトラブルにならないよう、共有者に連絡を取る場合には、意思表示の発生はいつからなのかを周知しておく必要があります。

「到達」とは、民法第97条によると「隔地者に対する意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる」とあります。相手が現実に内容を理解したかどうかは問題ではなく、郵便受けに投函されたり家族に手渡されたりした時点で「相手方の了知可能な状態」になったといえます。
相手方にいつ郵便が配達されたかを明確にするためには、「配達記録郵便」または「書留郵便」の制度を利用するとよいでしょう。また、「内容証明郵便」で発信した内容を明らかにすると、改ざんを防ぐことができます。

このページの上部へ