マンション建替え円滑化法を活用した方法と活用しない方法

これで円滑!マンション建替えガイド

建替えの決め方と方法

マンションは戸建てと違い、一つひとつの住戸が区分されて管理されています。そのため、マンションの建替えを行うときはマンション住民(区分所有者)の合意を取らなくてはなりません。また、マンション建替えを円滑に行うためにさまざまな法律を利用することが可能です。その法律を利用するかしないかで建替えの決め方や方法には違いがあります。

建替えの決め方

建替えを行うには、前述したように住民の合意を取って意見をまとめなければなりません。
ただし、建替え決議を行う場合と行わない場合で、賛成を取らなければならない人数が違います。

建替え決議を行う場合

区分所有法に基づいて建替え決議を行うことを集会で決議する場合は、区分所有法(建物の区分所有等に関する法律)第62条により、区分所有者および議決権の5分の4以上の多数決で行うことが可能になります。
以前は、建替え決議を行うために「建物の維持に過分な費用がかかる」という条件などがありましたが、平成15年6月の法改正により撤廃されました。

建替え決議を行わない場合

区分所有者の全員合意により実施する建替えの方法です。区分所有法改正前に多く用いられてきた方法です。
建替え決議を行わない場合は、民法の原則である全員合意が必要です。

建替えの方法

平成14年に制定されたマンション建替え円滑化法により、マンション建替えの際の権利の以降がスムーズになりました。これはマンション建替え円滑化法の第1節「権利変換手続」において定められています。
マンションの建替えは、このマンション建替え円滑化法を活用するかしないかにより、方法が別れます。
また、市街地再開発事業の建替えの場合は、別の方法により建替えを行います。

マンション建替え円滑化法を活用する場合(法定事業)

売買契約をせず、マンションを取り壊しても区分所有権と敷地利用権を消滅させず、新しいマンションに権利を一括して移行させることが可能です。これを「権利変換」といいます。権利変換を行うことで、建替え事業の円滑化が可能です。

組合施行方式

マンション建替え組合を設立して建替えを行う方法です。事業は建替え参加者だけで進めることが可能で、建替えに参加しなかった区分所有者に対しては建替え組合から売渡請求を行うことができます。この請求を行う場合、建替え反対者は時価での売却を余儀なくされます。法の手続きの元で建替えが行われるため、手間や時間が相応に必要です。

個人施行方式

区分所有者による個人または複数の個人、同意を得たデベロッパーなどが個人施工者として事業の認可を得て建替えを行う方法です。個人施工方式で建替えを行う場合は区分所有者の全員合意が原則となります。
そのため、建替え決議は行いません。組合施行方式に比べて認可などの手続きが簡素で、時間もかかりません。

マンション建替え円滑化法を活用しない場合(任意事業)

マンション建替え円滑化法を活用せずにマンションの建替えを行う場合は、区分所有者がデベロッパーと等価交換事業を行う(等価交換方式)か、もしくは、区分所有者が土地を所有したまま、施主としてすべての資金を負担して建替えを行います。等価交換方式とは、土地と建物を等価で交換するため、等価交換とよばれています。

区分所有者が土地の持ち分などをデベロッパーに出資し、デベロッパーが建設会社と工事請合契約を締結、その土地にデベロッパーが建物を建設します。そしてその建物が完成した後に建替えに参加する者とデベロッパーがそれぞれの出資比率分のマンション床を取得する方法です。

ただし、等価交換は新マンションに現在の住戸数以上の住戸(保留床)を作り、この住戸を売却することで費用の回収を行うことを前提としています。そのため、容積率に余裕があり立地がよいマンションでなければ、デベロッパーとの合意は難しいでしょう。

市街地再開発事業による建替えを行う場合

都市計画法や都市再開発法に基づき、マンションの建替えを実施する方法です。
マンションの建替えは「市街地再開発事業」の一環として既成市街地を一体的に整備する中で行われます。
ただし、市街地再開発事業は都市計画の中で決定しますので、個別の敷地単位では行えないこともあります。

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