「合意形成」とは、利害の異なる複数の人間が、最終的に何らかの意見を一致させることを指します。マンションは、一戸建てと違って多くの人が区分して所有している建物です。そのため、建替えをする際には誰か1人の意見ではなく、マンション住民(区分所有者)が共同して意志を決定しなければなりません。
ただし、マンションに対する価値観はそれぞれの住民が異なっていますし、家族構成や経済状況も違います。その中で、マンション住民の気持ちを1つにしなければなりませんので、合意形成までの道のりは簡単なものではないといえます。
また、マンションを担保として金融機関から融資を受けている場合や近隣住民との調整が必要な場合は、マンション外の権利者や関係者などとの同意が必要になるケースもあります。
「なぜ建替えが必要なのか」を確認することは、マンション建替えを計画するうえでの第一歩といえるでしょう。
現在のマンション住民がマンションに対して思っている不満や改善したい点、建物が実際どのくらい劣化しているのかということを踏まえ、建替えと大規模修繕(改修)のメリットとデメリットの検討を行います。
この「建替えの必要性」について、マンション住民に合意を得ることが最初の段階です。
専門家の協力を得ながら、新しいマンションの大きさや高さ、住戸の面積、施設、設備などについて具体的な建替え計画を策定します。この時、建替え費用がどのくらいかかり、マンション住民の負担額はどのくらいになるのかも検討することも必要です。
こうしてできた「建替え計画」に基づき、「建替えを行うこと」について合意を得るのが第2段階といえます。
建替えを行うことについて合意が成立した後は、その建替え計画をもとに住戸位置の選定などの最終的な調整を行います。この調整を終えて実際に工事に着手するところまで、さらに合意を深める必要があります。