建替え決議に反対したマンション住民(区分所有者)が最終的に建替えに参加しない場合、その区分所有権は区分所有法第63条「区分所有権等の売渡し請求等」に基づき管理組合に売渡さなければなりません。
この時、区分所有権は「時価で売渡す」ことになり、財産権の合理的な調整をはかることとなります。
この場合の時価は、「1.新しいマンションが建築された状態における建物および敷地利用権の価格と、それに必要な経費との差額」や「2.更地価格と現在の建物の解体費用との差額」が基準となることが一般的です。
「1」の場合は新しいマンションの敷地を含めた価格から必要な費用を控除したものですので、建設中に経済変動や周辺の環境により想定価格が変わる可能性があります。
「2」は新しく再建されたマンションの価格は反映されません。震災などの影響で建替えを行う際に用いられます。
売り手はできるだけ高く売りたい、買い手はできるだけ安く買いたいと思っていますので、お互いの意見が最初から合致することは難しく、双方の調整が必要となります。時価がいくらになるかはマンションや建替えの状況によって異なりますが、もし建替え組合と区分所有者の間で争いになるような場合は、民事的な裁判により価格を決定することになります。