事業協力者の選定は、保留床の販売見込みや予定販売価格の決定など、事業の成立に影響が大きいことから慎重に行う必要があります。選定の途中経過についてもマンション住民に周知させる、管理組合の集会で承認・決定させるなど、透明性の高い選定プロセスをとるようにしましょう。
選定には多くの手間や時間がかかりますが、はじめから一社に決めるのは避けたほうがよいでしょう。というのも、事業協力者が早い段階に決まってしまうと、建替え計画組織と事業協力者との間に癒着を疑われてしまうことがあるからです。
マンション住民から「この業者を使って欲しい」と推薦があった場合は、断ることで感情的な対立が生まれてしまう可能性があります。また、言われるままにその業者に決めてしまうと、今度は業者との癒着を疑われてしまいます。
そのため、「事業協力者の選定基準を事前に決めて公開しておく」、「後から問題にならないようにマンション住民からの推薦は知人の業者を除く」というように、ルールをあらかじめ決めておくようにするとよいでしょう。
事業協力者を選定する際の比較項目には専門性のあるものが多くあります。そのため、マンションの区分所有者だけでなく専門家のアドバイスを受けながら進めていく必要があります。また、客観的な視点からの判断が求められますし、各社を平等に扱うという観点からもマンション外部の協力者はなくてはならないものです。
候補者の説明や計画案の中に専門的な知識を必要とするデータや専門用語が入っていた場合、マンション住民には内容がわからず、適切な判断ができない場合があります。候補者に誰が見てもわかりやすい資料を用意してもらうか、不明点があった時に素人でもわかりやすく説明をしてもらえるように準備をしてもらいましょう。
また、比較表などを作成し、判断を行いやすくする工夫も必要です。
候補者の計画案について、または候補者そのものについてマンション住民から計画組織に意見を求められた場合、不平等が起こらないように配慮しなければなりません。特定の計画案や候補者に有利になるような発言を行ったり、逆に不利になるような発言を行ったりすることは、選定の透明性を疑われることにもなりかねませんので慎みましょう。