団地の敷地内に道路がある場合、マンションの建替え時に別の場所に道路を付け替えることも可能です。ただし、マンションの建替えは市街地再開発事業とは異なり公共施設整備に関する定めがないため、道路を別の場所に移す時は都市計画法に基づく開発行為として行わなければなりません。
道路の土地に関する権利の交換は、現在は道路でマンション建替え後はマンションの敷地となる部分を建替え前に「隣接施工敷地」としておき、建替え後に道路となる予定地を「保留敷地」として譲渡することで行います。
都市計画法第33条第1項第14号の「開発許可の基準」では、「当該開発行為をしようとする土地若しくは当該開発行為に関する工事をしようとする土地の区域内の土地又はこれらの土地にある建築物その他の工作物につき当該開発行為の施行又は当該開発行為に関する工事の実施の妨げとなる権利を有する者の相当数の同意を得ていること」と定められています。
そのため、道路の付け替えにおける開発工事においても、開発区域内の土地や建物、工作物などの所有権を持っている者の同意を相当数得ることが必要です。また、公共団体の開発許可基準によっては、所有権の管理者全員の同意が必要になる場合もあります。
都市計画法第40条第1項の「公共施設の用に供する土地の帰属」では、「開発許可を受けた開発行為又は開発行為に関する工事により、従前の公共施設に代えて新たな公共施設が設定されることとなる場合においては、従前の公共施設の用に供していた土地で国又は地方公共団体が所有するものは、第36条第3項の公告の日の翌日において当該開発許可を受けた者に帰属するものとし、これに代わるものとして設置された新たな公共施設の用に供する土地は、その日においてそれぞれ国又は当該地方公共団体に帰属するものとする」とされています。
これは開発工事によりマンションの敷地や新たな公道を整備した時、開発の完了公告が出た翌日において、付け替え前の公道の土地は事業者へ、付け替え後の公道の土地は地方公共団体に属するということです。
ただし、マンション建替え事業では敷地の権利変換が権利変換期日に行われるため、この日程を調整するため地方公共団体と協議を行うことが必要です。