それぞれのマンション住民が納得する建替えの合意形成をするためには、住民の中で意見を交わすことは非常に大切です。しかし、規模が大きなマンションや団地などでは意見の交換が難しいこともあります。
規模が大きいマンションの場合は、検討組織も細分化して50人程度の規模で活動すると意見が共有しやすくなります。ただし、集まった人を無作為に50人ずつ分けると、その中で意見の対立が起きることがあり意見がまとめづらくなってしまいます。そのため、似たような背景がある人だけでグループを組んで意見共有を行うとよいでしょう。
例えば棟単位や階単位にグループを作ると、マンションの不満点を共有できグループ分けも簡単です。こうしてできたグループ内で、マンションが置かれている状況や、将来の問題について話し合うのが建替えの第一歩です。
グループ内で意見交換をする場合、回覧板や冊子、メールなどで情報を共有するという方法もありますが、建替えの定義がされたばかりの段階やグループができたばかりの段階の時には直接対話しながら意見を交換したほうがよいでしょう。
はじめのうちは、人数が集まらない、参加者が限られるなどの問題が発生することもあるかもしれませんが、最終的に良好な信頼関係を築くことができるよう、地道な活動が大切です。
また、どんな意見交換会でもそうですが、場の空気に押されてしまって、マンション住民がそれぞれの意見を発言できないという事態も予想できます。そのため、「自由意見交換会」のような、個々人の意見を集める場が必要なこともあります。
自由意見交換会とは、グループの1人ひとりが自由に意見を出し、その意見を議論したり説得したりをしないというルールのもと意見を交換する、というような方式の意見交換会です。できるだけ多くの意見を集め、ほかの参加者がその意見と根拠についてよく聞くことでその後の議論も深まります。
最終的にはグループの意見を統一することになるのですが、少数派や個人の意見も切り捨てることなく意見を交換することで、見えなかった不安や懸念、期待などがわかってきます。