今までマンションの建替えは「等価交換方式」で行われるのが主流でした。
等価交換方式とは、土地と建物を等価で交換するため等価交換と呼ばれます。建替えに参加する者が土地の持ち分などをデベロッパーに出資し、建設会社と工事請合契約を締結したデベロッパーが土地に建物を建設します。
そしてその建物が完成した後に建替えに参加する者とデベロッパーがそれぞれの出資比率分のマンション床を取得する方法です。建替え参加者は建替え費用なしで建物を取得でき、デベロッパーは先に土地を入手できるために建設時のリスクが軽減されるというメリットがあります。
等価交換方式では新マンションに現在の住戸数以上の住戸(保留床)を作り、この住戸を売却することで建替えに要した費用の回収を行うことが前提でした。しかし、今後のマンションは法改正や都市計画の変更などにより、以前より容積率に余裕がなく保留床を多く作ることができないケースがほとんどと言われています。
そのため、建替え参加者が建替え費用を準備しなくてはならないケースが多くなるでしょう。建替え費用の負担が重くなるほど、建替えの合意形成は困難となるため、負担をできるだけ軽くする方法を検討しなくてはなりません。
マンションの立地条件が良く、マンションの容積率に余裕がある場合は、新マンションを旧マンションより大きく建替え、余裕がある住戸(保留床)を販売することで資金にあてることができます。ただし、前述したように保留床を多く作ることは現在では難しいうえに、立地条件が良くなければ売却が難しいこともあります。
保留床の販売以外の方法として、マンションの設計や建設費用、旧マンションの解体・整地費用、外部工事の費用、登記や税金に関する費用、転出する区分所有者への対応費用などを節約するという方法もあります。
しかし、限度があるため融資や債務保証に頼らざるを得ない場合が多いでしょう。
住宅金融公庫の融資制度として、敷地面積や建物要件などの一定の基準を満たしている場合、低利の融資が可能です。また、住宅資産を活用して死亡時に一括返金ができる特例措置が、高齢者を対象として設けてあります。
また、マンション建替え円滑化法に基づく建替えで一定の要件を満たす建築物や敷地の整備費用を借り入れる場合は、(社)全国市街地再開発協会に債務を保証してもらうことができます。