団地の場合においてのマンション建替え事業

これで円滑!マンション建替えガイド

団地におけるマンション建替え事業の施工

同じマンションの建替えであっても、団地内のマンションの場合はさまざまな手続きの違いや留意点があります。

団地を建替えする場合の建替え組合設立

同じ敷地上に複数棟のマンションがある団地の場合、区分所有法第69条「団地内の建物の建替え承認決議」により、2棟以上のマンションが同時に建替えを行うことが考えられます。その場合は、各棟で1つずつ建て替え組合を設立する方法もありますが、2棟以上のマンションで1つの建替え組合とする方法もあります。

ただし、「2棟以上のマンションで1つの建替え組合」の場合は、組合の設立について各マンションで建て替え合意者の4分の3以上の同意をとらなくてはなりません。

また、区分所有法第70条による「団地内の建物の一括建替え決議」が成立した場合には、団地内のすべてのマンションで1つの建替え組合とすることも可能です。この場合は、一括建替えに合意した区分所有者の4分の3の同意に加え、各マンションでその区分所有者を有する一括建替え合意者の3分の2の同意を得る必要があります。

ただし、1つの建替え組合を作ることに同意した者の議決権が一括建替え合意者全員の議決権の4分の3以上になる場合、各マンションで1つの建替え組合を作ることに合意した者の議決権が、一括建替え合意者全員の議決権の3分の2以上になる場合に限ります。

団地内建物の建替え承認決議をした場合の権利変換計画

敷地を共有する団地内の建替えを行う場合、区分所有法第69条「団地内の建物の建替え承認決議」により当該マンションの所在する土地の所有者である団地建物所有者の4分の3以上の同意で承認が与えられることになります。なお、「議決権」は1住戸1議決権ではなく、区分所有法第69条2項により、建物が存在する土地の持分割合により決定します。

そのため、当該建て替えマンションの権利変換計画は、当該建替え棟意外の土地の共有者である団地建物所有者の同意を得る必要はありません。

建替え方式の選択

「団地内の建物の一括建替え決議」、「団地内の建物の建替え承認決議」が両方適用できる団地の場合は、一括建替えか棟別建替えかを選択する必要があります。それぞれにメリットとデメリットがありますので、計画条件や区分所有者の意見などを参考にして判断しましょう。

一括建替え方式のメリット・デメリット

一括建替え方式のメリットは、団地空間を計画的に再編できることが容易であることが挙げられます。
ただし、区分所有者が多くなれば多くなるほど団地全体での合意形成が難しくなることやたくさんの仮住居が必要になること、一定期間内に保留床を大量に処分しなくてはならないなどのデメリットもあります。

棟別建替え方式のメリット・デメリット

棟別建替え方式のメリットは、必要な棟だけ建替えを行うため、施行や話し合いなど何事も迅速に行える点です。
また、保留床の処分も一括建替え方式に比べれば段階的になり、処分がしやすいと言えます。デメリットとしては、棟ごとの建替えとなるために事業性が低くなってしまうことと、団地空間の再編が難しいことが挙げられます。

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