マンションを建替えることになった場合、工事期間中にマンション住民が住む一時的な仮住まいが必要です。仮住居はマンション住民にとって建替えの一時金と並ぶ、もっとも不安を感じる問題でもあります。
仮住居は基本的にマンション住民が自ら探さなくてはなりません。一般的には近くにアパートやマンションを借りて住むというケースがほとんどですが、高齢者世帯や子どものいる世帯や、団地の建替えなどで大量に仮住まいを探さなければならない場合など、なかなか条件に合った住居を探しづらいこともあります。
また、仮住まいといっても場合によっては数年間にわたることもあり、経済的な負担だけでなく住み慣れた環境が変わるという精神的な負担も少なくありません。区分所有者にとって、仮住まいの問題は決して小さいものではないのです。
できるだけ早い段階から対策を考え、住居先を探すなどのアクションを起こすようにしましょう。
子どものいる世帯は引越しにより子どもの学区が変わってしまう、通学が不便になってしまうという問題が発生するため、できるだけ現在のマンションに近い場所に仮住居をと考えているはずです。
また、高齢者の通院の問題や社会人の通勤の問題などから考えても、マンション近くの仮住居を希望するでしょう。
そのため、近隣の仮住居の確保が難しくなってしまうことがあります。
事前にマンション住民の実態調査を行っておき、地元の不動産会社と相談して手配をしておくようにしましょう。
自治体に公的な住宅を斡旋してもらう、企業で使用していない社宅などを借り上げて移り住むなどという方法も考えられます。周辺に一括して借りられる共同住宅があればマンション住民同士そのまま移り住むことができますので、仮住まいに住んでいる間も住民同士のコミュニティが崩れず、安心感があります。
高齢者世帯の場合、新たに仮住居を探したとしても、条件によっては賃貸を断られてしまうことがあります。事前に仲介を行う不動産会社や家主に対して事業内容を説明しておき、協力を得やすいように準備をしておきましょう。また、場合によっては、建替え組合が保証人となり住居を借りるようにすることも必要です。
マンション建替え円滑化法により、公営住宅を仮住居として斡旋してもらえる支援措置が整備されてきました。もし、支援措置が適用される地方であれば、早い段階から地方公共団体に相談して計画的な確保を行うようにしましょう。
マンション数が多く、今後建替えるマンションが増加するであろう東京都では、平成15年から「マンションの建替えの円滑化等に関する法律」によるマンション建替え事業を行うにあたって、仮住まいが必要な方に対して都営住宅の提供を行っています。この制度は「マンション建替えに伴う都営住宅などの提供(仮住居)」といいます。
入居には条件があり、割り当て個数、提供地域などに制限がある場合や、応募多数の場合は抽選になる場合もあります。早めに情報収集をして対策を練っておきましょう。