旧マンションの敷地、住戸に関する権利は、権利変換計画の策定前に建替え事業参加者ですべて保有しておく必要があります。建替えに参加しない区分所有者は、その区分所有権と敷地利用権を時価で建替組合に売渡さなければなりません。
建替え決議が成立したら、建替え決議の招集者である管理組合理事長は建替え決議の非賛成者に対して、建替えに参加するかどうかを書面で催告します。
催告を受けた者は、2カ月以内にもう一度建替えに参加するかどうかを回答しますが、期間内に回答がなかった場合は建替えに参加しないとみなされます。この手続により、「建替えに参加しない区分所有者」が確定します。
売渡請求は、建替え参加者個人や、建替え参加者全員の合意によって選任された者が行使できます。また、組合施行の建替えの場合は建替組合が権利を行使することもできます。建替組合が売渡請求を行う場合、建替え参加者個人による買受費用準備や買受指定者を選定する作業を行わなくて済むメリットがあります。
なお、売渡請求権は「形成権」と解釈されています。形成権とは、権利者の意思表示のみで法律効果を生じさせられる権利です。したがって、売渡請求の意志が建替え不参加者に届いた時点で、建替え不参加者の意思にかかわらず契約が成立したものとみなされます。
建替組合による売渡請求は、「建替組合が設立して認可が公告された日から2カ月以内」に実施できます。もし認可の公告日が、建替え決議に賛成していない区分所有者に対して建替えに参加・不参加の回答を求める期間満了の前である場合は、期間満了から2カ月以内となります。
なお、売渡請求は正当な理由がない限り「建替え決議等の日から1年以内」に実施しなければなりません。
建替えに参加しない区分所有者に対しては、その区分所有権および敷地所有権を、売渡請求権が行使された時点での時価で売渡しを請求します。時価の算定は、専門家やデベロッパーなどに鑑定評価を依頼して行います。価格の決め方については、「売渡請求権行使時の時価」もご覧ください。